7/10
8/10
9/10
あなたは「理想の街」と聞いて何を想像する?緑あふれる公園、便利な交通、清潔な空気——でもそれが全てトヨタが設計・管理し、住民の行動データを24時間収集している街だとしたら?実はいま、富士山のふもとで静かに、でも確実に、世界が注目するある実験が始まっている。
1兆円をかけた”生きた実験場”——Woven Cityとは何者か
静岡県裾野市。2021年に着工したWoven City(ウーブン・シティ)は、トヨタが約100億ドル(約1兆5000億円)を投じて建設中のスマートシティだ。2025年時点で数十人規模の住民がすでに生活を始めており、将来的には2000人以上が暮らす予定とされている。
建物は木材と炭素繊維を組み合わせた独自素材で作られ、道路は自動運転車・低速モビリティ・歩行者の3レイヤーに分離。地下には自動配送ロボットが走り回る。エネルギーは水素と太陽光でほぼ賄う——という未来の街が、もうリアルに動いている。正直、最初にこのスペックを聞いたとき、私は「これ、SFの設定じゃないよね?」と二度見した。
でも、ここで止まってはいけない。この街の「本当のすごさ」は、住民が日常を送るだけで膨大なデータがトヨタに集まる仕組みにある。健康状態、移動パターン、消費行動——センサーとカメラが街中に張り巡らされ、それらを継続的に収集・分析することが、この都市の”本当の目的”とも言える。
プライバシーの悪夢か、それとも人類の贈り物か
Ars Technicaが「privacy nightmare(プライバシーの悪夢)」と表現したのは、決して大げさじゃない。Woven Cityでは、住民は自分たちの行動データが収集されることを知った上で入居する——つまり「監視される生活」に同意したうえで住む街なのだ。
これが中国のスマートシティ計画と決定的に違うのは、トヨタが自動車メーカーとしての「生き残り」をかけていること。EVシフトで出遅れたと言われ続けてきたトヨタが、次の柱として狙っているのが「モビリティ×ヘルスケア×AI」の統合プラットフォームだ。Woven Cityはその巨大な実証実験に他ならない。
日本ではまだ「スマートシティ」というと行政主導の実証実験レベルの話が多い。でもこれは民間一社が都市丸ごとを設計・運営するという、全く異質の試みだ。もしここで得られたデータとノウハウが製品・サービスに転用されたら——日本の街にも、気づかないうちにWoven Cityの思想が忍び込んでくるかもしれない。
「便利さ」と「監視」のトレードオフ、あなたはどこに線を引く?
私がこのプロジェクトで一番引っかかるのは、悪意がないことが、かえって怖いという逆説だ。トヨタは別に市民を支配しようとしているわけじゃない。高齢化・エネルギー問題・移動弱者——これらの課題を本気で解こうとしている。でもその「善意の解決策」が、結果として前例のない規模の行動監視インフラになっている。
GoogleがSidewalk Torontoという類似プロジェクトをプライバシー問題で断念したことを覚えているだろうか。トヨタはその教訓を踏まえているのか、それとも繰り返すのか——2025年以降の展開が、本当に目が離せない。
💬 Naoより:正直に言うと、私はWoven Cityに「住んでみたい気持ち」と「絶対に嫌だという気持ち」が同時にある。それって結局、私たちが便利さと引き換えに何を手放せるか、という問いと向き合うことなんだよね。あなたはどう思う?もし「全部監視される代わりに家賃無料・医療費無料の街」があったら、住む?

コメントを残す